日本のうたごえ祭典in奈良    孫曼さんの挨拶全文                大音楽会紫金草の舞台で 11月24日  

 

        ( 時間の関係で孫曼さんは一部省略して話されました)  

   先程ご紹介いただいた、中国南京市外事弁公室で日本との交流を担当している孫曼です。本日は南京理工大学『龍の踊り』チームと一緒に、日本のうたごえ祭典in奈良に参加できて、大変光栄に思っております。このチャンスを与えてくださった皆様に、心から感謝を申し上げます。
  日本と中国は一衣帯水の隣国で、友好交流の歴史はとても長いものです。特に、奈良はその交流発祥の地で、千三百年以上前に、聖徳太子や鑑真和上が、正にこの奈良の地で最初に日中交流の架け橋をかけてくださったのかと思うと、感無量です。
  紫金草合唱団との出会いは、2001年に遡ります。私は南京市の国際交流関係の職員として、初めての南京公演を手伝いました。 

紫金草物語とは、戦時中、山口誠太郎さんという方が南京から紫花大根の種を日本に持って帰り、戦後は、鎮魂と平和の思いでその種を広めたとの内容ですが、公演前は、正直にいって、南京市民がどんな反応をするのか少し不安でした。
  しかし、この組曲を聞いて千人の会場は大きな拍手と
感動の涙に溢れていました。私達も合唱団員の皆さんと一緒に、成功を喜ぶ涙を流しました。やはり皆さんの平和を愛する気持ちがよく伝わったと思います。
  観客の感想は、次のようなものが主でした。たとえば、「歴史を変えようとする危ない日本の社会の中で、良心を持って歴史を正視しようとする皆様の態度と勇気に大変感動しました」とか、「日本には良心のある人も大勢いて、歴史を認めないのは、ごく一部の人だということがよく分かった」とか、つまり、紫金草合唱団の中国公演は音楽分野の交流だけではなく、もう一つの目的も達成できたと思います。

  それは日本にも、平和を願って歴史を反省している、そしてより多くの人に歴史の教訓を伝えるために頑張っている方が大勢いるという事実を、多くの中国人に知ってもらったのです。
  これは非常に大事なことだと私は思います。コンサートを聞いた南京市民の誰もが、私と同じように、日本と日本人に好感を持って、日本との友好を願うようになりました。これは、正に日中友好を大きく促進したコンサートだったと思います。
 

  それ以来、毎年、紫金草合唱団と交流を重ねて来まして、今は紫金草という三文字は、南京で、そして中国で非常に有名になりました。全世界平和フォーラムが南京で開催された時も、主催者がすべの参加者の胸に、素敵な紫金草の造花をつけました。  そして、来月再オープンする南京事件記念館には、日本の皆さんのご寄付もあって、紫金草の花園が出来る予定です。正に、記念館の館長が言っていたように、「紫金草はもう単なる花ではない。この花は日中両国民が戦争に反対して、平和を守る決意を表わす花です」。

 来月の南京事件70周年には、150人以上の紫金草合唱団の方々が中国を訪問して『紫金草物語』を演奏してくださいます。また、来年7月には、日本のうたごえ合唱団の南京訪問も計画されていると聞いております。今後も、日中の交流が、ますます深まることを願っております。
 今回来た学生たちが所属している南京理工大学は紫金山の麓にあり、春になると、紫金草が海のように満開する美しい風景に出会えます。新聞で紫金草の記事を読んで、ぜひわが大学で日本の皆さんと交流をしたいと、熱心に頼んできた大学です。

 交流の一環として、今回『龍の踊り』が招聘されたわけですが、龍は中華民族の象徴で、『龍の踊り』も中国では無形文化財です。このチームは全国コンテストで何回も優勝したチームです。

  そして、私が何より期待しているのは、将来を担う若い青年たちが、今回の訪問を通じて、日本を理解し、日本の皆さんと友情を深めて、社会人になってからも日中関係に貢献できるようになることです。   最後に、今回の日本のうたごえ祭典が大成功を収めるように、日中の平和と友好が永遠に続くように、心から祈念して私の挨拶といたします。

左欄はホームページ編集者で関連写真を入れたものです 戻る